2022年11月12日、茨城県行方市消防団の「玉造支団第5分団第2部」(通称・羽生消防団)に所属していた消防団員22人全員が退団していたという報道がありました。
そのため、現在羽生消防団員は1人もいない状態になっています。
退団の原因は、消防操法大会の競技順を巡るトラブルであったようです。
本記事では、全員が退団してしまった原因や消防団の実際について紹介します。
そもそも消防団とは?

江戸時代に8代将軍徳川吉宗が町火消「いろは四八組」という組織を作りました。この組織が消防団の前身組織と言われています。
以降、明治から戦後と時代の変遷とともに組織も変遷し、現在の消防団という形におさまりました。
非常備の消防機関
消防団は消防署と同様の消防機関です。
普段は様々な仕事に就いている人たちが地震や火災、水害などの災害が起こった時に消防団員となり消防活動を行う非常備の消防機関のことを指します。
特別職の地方公務員
消防団員の立場は公務員ですが、特別職の非常勤公務員になります。
条例、規則等でその活動について規定されているのです。
報酬は?
総務省消防庁によって全国の消防団活動の実態が調査されました。その結果、
1回の出動に伴い発生する実費額(災害時):平均8,000円程度
災害以外の事由に関する出動:平均4,000円程度
となっています。
報酬自体は低めですから、報酬目的に活動する団体ではないですね。
入団資格って?
18歳以上の健康な方であれば男女問わず入団資格を持っています。
最寄りの消防署に相談すると入団できます。
なぜ茨城・行方の羽生地区の全消防団員は退団したのか?
報道によると退団の原因は、9月24日に予定していた市消防団の操法競技大会の競技順を巡るトラブルとのことです。
操法競技大会とは可搬ポンプとホースを使い、送水のタイムや規律などを競う大会で競技順を抽選で決めていたそうです。
動画を観ると、組織的に規律を守って動いていることがわかると思います。
これは日頃から時間を費やして練習しないと出来ない動きですね。
団員が辞めたトラブルとは?
トラブルの具体的な内容ですが、
羽生消防団は6月の抽選で5番目に操法を行う予定になっていましたが、その後27番目の消防団と順番が入れ替わっていたそうです。
抽選で決まって団員に周知されていたことが意図的に捻じ曲げられた訳ですね。
やられたほうからしたら、たまったもんじゃないですよね。
団員はプライベートを削って参加している催しですね。
せっかく5番手で早く終わってプライベートに時間を充てられると思ってたのに・・・27番目になって早く帰れない、という思いもあったのではないでしょうか?
誰が指示した?
そして、この行為を行った、あるいは指示したと思われている人が市消防団の阿部浩幸団長という人です。
なぜ阿部さんはそんなことをしてしまったのでしょうか?
その理由です。
市消防団の阿部浩幸団長は「5月の新人訓練があった際、羽生消防団が穴の開いたホースで参加していた。(変更は)注意喚起・指導の意味合いだったと理解している」と説明する。
消防団員全22人退団 茨城・行方の羽生地区 操法大会順番変更に反発 防災力低下の懸念も(茨城新聞クロスアイ) – Yahoo!ニュース
穴の開いたホースで参加していたことへの罰ということでしょうか?
確かに「ホースに穴が開いていた」って相当問題があると思います。これが本番だったら、笑って済ませられないレベルです。
抽選という無作為な意思をねじ曲げ、自分の権限を使って介入して良い理由にはなりませんね。
そして、羽生消防団側は順番変更に反発、分団長や市の担当職員らが謝罪に赴いたようですが7月20日に全員分の退団届を提出しました。
阿部浩幸団長は謝罪せず

一応謝罪はされていたようなのですが、羽生消防団側にとって謝罪して欲しい人からの謝罪はなかったようです。
退団届を提出した理由について元団員らは、分団長より上の立場の人に説明を求めようとした結果、「これ以外の方法がなかった。苦渋の決断だった」と振り返る。「われわれと向き合ってほしかった。最後まで満足できる謝罪も説明もなかった」と話し、「家族や自分の時間を犠牲にして地域貢献のため活動してきた。間違いを間違いと言えない環境は疑問。何も結果が出ないまま、退団届が受理されてしまったことは非常に残念」と語った。
消防団員全22人退団 茨城・行方の羽生地区 操法大会順番変更に反発 防災力低下の懸念も(茨城新聞クロスアイ) – Yahoo!ニュース
「分団長より上の立場の人」というと、行方市消防団本部の人を指します。
「団長」「副団長」という人たちがその立場にあたります。
団長、副団長からの謝罪があれば、おそらく消防団員全員が退職することはなかったと思われます。
本部の人たちはなぜ謝罪しなかったのか?

ここは大きな闇がある気がします。
消防団は江戸時代から続く長い歴史を持つ団体です。
完全な上下関係があったと思われます。
今回の報道を受けて、Twitterの感想にはネガティブな話がたくさん出ています。
Twitterの意見を見ていると、縦社会で意見をまったく言えない組織であったり、消防団に参加しないと村八分にされたり・・・なんとも恐ろしい話で溢れていました。
つまり、謝罪しなかった理由は、
- 完璧な縦社会で上の立場の者が下の者に頭を下げる慣習がなく、罰が当然と思っていた。
これにつきるでしょう。
一方でこんな意見も・・・

報道では「羽生消防団側がかわいそう」という論調。
しかし「ホースに穴が空いていた」ことに気付かないという、ずさんな管理をしていたことに対する苦言もありました。
また「操法競技大会」の必要性がない、廃止にしたほうが良いという意見も多くありました。
まとめ

羽生地区消防団員全22人退団というショッキングな報道。
もしかしたら、全国の消防団の在り方を問われることになるかもしれませんね。
今回の件は、ペナルティを与える側も、与えたとして正当な理由を団員に説明し納得してもらうという当たり前のことができていなかったことに問題があります。
なぜしなかったというと、これまでの消防団の在り方、閉鎖的で完璧な上下関係という組織自体に問題があるのではないかと感じます。
消防団がいなくなって不安を募らせるのは住民です。また、消防団の存在意義は地域住民の安全確保のはず。
住民のため、地域の安全のために協力するという根本理念を忘れないで活動を続けていって欲しいですね。
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